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消費者行動分析とは?マーケティングに活かす基本と事例〜顧客の意思決定の心理と行動

消費者行動分析とは?マーケティングに活かす基本と事例〜顧客の意思決定の心理と行動

「なぜこの商品が売れるのか?」「どんな広告が響くのか?」その答えを見つけるカギが「消費者行動分析」です。

単なるデータ解析ではなく、顧客の“心の動き”や“行動の裏側”に迫ることで、より確かなマーケティング戦略が描けます。

本記事では、消費者行動分析の基本から活用事例までをわかりやすく解説します。

消費者行動分析とは?わかりやすく簡単に解説

消費者行動分析とは、商品やサービスを「知ってから買う、使って評価する」までのすべてのプロセスをデータで捉え、マーケティング施策に活かす手法です。

顧客の意思決定の裏側にある心理や行動の流れを可視化することで、より的確な広告、商品開発、UX改善を可能にします。

「消費者行動」:買うまで・買った後の行動全体

消費者行動とは、商品を「認知するところから購入、さらに使用後の口コミまで」に至る一連の行動や心理のことを指します。つまり、「欲しい」と思う前から「満足した」と感じるまでのすべてを含みます。

たとえば、SNSで新商品を知り、レビューを読み、比較し、購入し、感想を投稿するまでが、すべて消費者行動に該当します。このような行動を理解することで、商品開発や広告戦略のヒントが得られるのです。

消費者行動“分析”がマーケティングに不可欠な理由

消費者行動分析とは、この一連の行動を「データ」や「観察」から読み解き、マーケティングに活かすことです。どこで興味を持ち、なぜ離脱したのか。どの言葉に反応したのか。こうした細かな動きを知ることで、顧客インサイト(深層心理や本音)を抽出し、より効果的な打ち手を設計できます。

データに基づいた意思決定が可能になることで、商品設計・広告制作・UX改善・LTV最大化といった多様な施策に結びつきます。こうした一連のプロセスを支えるのがデータドリブンマーケティングであり、主観ではなく顧客行動の“事実”に基づいた施策を実行できる点が最大の強みです。

つまり、感覚に頼るのではなく、顧客の「本音と行動」に基づく戦略が実現できるのです。

消費者行動と混同しやすい概念との違い

「消費者行動」と似た言葉に「消費行動」や「消費者心理」がありますが、それぞれ意味や分析対象が異なります。

用語の違いを理解することは、マーケティング戦略を的確に立てるうえで欠かせません。

消費者行動と消費行動の違い

一見似ているこの2つですが、指す範囲が異なります。

  • 消費者行動:商品やサービスの「認知・関心・比較・購入・使用・評価」といった一連の流れの中で、特に「購入前後の心理や行動の変化」に焦点を当てます。
  • 消費行動:購入した後の「使い方」や「満足度」「再購入するかどうか」など、使用フェーズの実行動に重点が置かれます。

つまり、消費者行動はマーケティング全体を設計するための情報源、消費行動は顧客満足度やLTVを考える材料として位置づけられます。

消費者行動と消費者心理の違い

消費者心理は、「なぜ人はそのように考え、選ぶのか」という内面にフォーカスします。一方、消費者行動は「どう行動したのか」「何を選んだのか」といった外部に見える変化に注目します。

例として、「高級ブランドを選ぶ理由」を探る場合だと

  • 消費者心理:安心感を求めている/自己表現のため
  • 消費者行動:ブランドロゴの大きさで商品を選ぶ/価格が高い方を選ぶ

このように、心理と行動を切り分けて分析することで、より深い顧客理解が可能になります。

消費者行動分析に使える代表的な理論・モデル

消費者行動を深く理解するには、心理学や経済学をベースにした行動モデルの活用が欠かせません。

ここではマーケティング戦略に頻繁に活用されている代表的なフレームワークを紹介します。

マズローの欲求5段階説と購買行動の関係

マズローの理論では、人間の欲求は「生理的欲求」から「自己実現欲求」へと段階的に構成されているとされます。マーケティングでは、マズローの欲求5段階の段階ごとに訴求方法を変えるのが基本です。

  • 生理的欲求・安全欲求:食品・日用品など「機能性・コスパ・安心感」を重視した広告や訴求。
  • 社会的欲求・承認欲求:ファッションやSNS映え商品など「他人からの評価・共感」を意識。
  • 自己実現欲求:高級ブランドや自己啓発教材など「自分らしさの追求・理想の実現」を後押し。

とくに現代では「承認欲求」や「自己実現」に響くマーケティングが注目されており、SNSやインフルエンサー戦略と親和性が高いのも特徴です。

AIDMA・AISAS・SIPSなどの消費者行動モデル

消費者がどのような思考プロセスで商品に出会い、選び、共有するのかを理解するために、段階ごとの行動を整理した「消費者行動モデル」はマーケティング戦略の基本ツールです。

ここでは3つの代表的なモデルを紹介します。

AIDMA(アイドマ)|マス広告時代の購買プロセスを可視化

AIDMA(アイドマ)は、広告や販促によって消費者が購買に至るまでの心理変化を5段階で表した伝統的なモデルです。

  • Attention(注意):商品やサービスが視界に入り、認識される段階。
  • Interest(興味):見た内容に興味を持つ。
  • Desire(欲求):それを「欲しい」と感じる。
  • Memory(記憶):印象的だった要素が記憶に残る。
  • Action(行動):実際の購入や申し込みに至る。

特にテレビCMやチラシなど、一方的な情報提供を前提としたマスマーケティングにおいて、AIDMAは非常に有効な分析枠組みとされています。

AISAS(アイサス)|検索&共有が前提のWeb時代モデル

AISASは、インターネットが普及した現代の消費行動を反映して作られたモデルです。

  • Attention(注意)
  • Interest(興味)
  • Search(検索)
  • Action(行動)
  • Share(共有)

AIDMAに比べて「検索」と「共有」が明確に加わっているのが特徴です。ユーザーは興味を持った商品を即検索し、体験をSNSなどで発信するという流れが定着しているため、AISASはECサイトやSNS広告の運用にもよく使われます。

SIPS(シップス)|“共感”が起点のSNS時代の購買行動

SIPS(シップス)は、スマートフォンとSNSの利用が日常化した現在の消費行動に最もマッチするモデルです。

  • Sympathize(共感):インフルエンサー投稿などに「いいね」や「共感」する。
  • Identify(確認):公式サイトや口コミで情報を確認。
  • Participate(参加):購入やイベント参加などでアクション。
  • Share & Spread(共有・拡散):体験を自ら発信。

特徴は共感が出発点であること。いわゆる“バズる”仕組みを理解する上でも重要なモデルであり、UGC(ユーザー生成コンテンツ)戦略などに応用されています。

消費者行動分析の主な手法|定量・定性・ニューロまで

消費者行動分析は、「どのようなデータを使って、どこまで深く理解したいか」に応じて、さまざまな手法が選ばれます。ここでは代表的な3つのアプローチを紹介します。

定量調査(アンケート・Web解析)|行動を“数値”で捉える

定量調査は、アンケートやアクセスログ、CVRなどの数値化されたデータをもとに消費者の傾向を分析する方法です。

  • アンケートで「購入経験の有無」や「評価スコア」を数値で取得
  • Googleアナリティクスなどで「直帰率」「ページ滞在時間」などのWeb行動を分析
  • 大規模なサンプルから“全体傾向”や“購買パターン”を可視化できる

意思決定の傾向やセグメントごとの反応を理解するのに適しており、広告運用や商品ラインナップの見直しに活用されます。

定性調査(インタビュー・行動観察)|深層心理を言語化する

定性調査は、数字には現れない“なぜその行動をとったのか”という顧客インサイトを深掘りするための調査手法です。

  • 顧客インタビューによって、商品に対する期待・不安・印象を深掘り
  • 実際の購買行動を観察し、「無意識のクセ」や「商品選びのリアルな順序」を把握
  • 感情の動きやモチベーションを探るため、ペルソナ設計やカスタマージャーニー構築の基礎資料となる

UX改善や新規プロダクト開発など、“顧客の本音”を取り入れたい場面に適しています。

ニューロマーケティング(視線計測・感情分析)|無意識の反応を可視化

近年注目されているのが、脳波・視線・表情などの生体反応を用いて「無意識の本音」に迫るニューロマーケティングです。

  • アイトラッキング:視線がどこに集中したかを分析
  • 感情分析ツール:動画・画像視聴時の表情変化を自動認識
  • EEG(脳波計)・fMRI:報酬系やストレス反応を計測し、“好き・嫌い”や“集中度”を数値化

「直感でなぜ選ばれるのか」「感覚的に印象が残る理由」など、言葉にできない“好感”や“拒絶”の感情を読み取れるのが最大の強みです。

ニューロマーケティングとは?意思決定を動かす脳科学×心理の仕組み

分析結果をマーケティング施策に落とし込む事例・具体例

消費者行動分析は、データを集めるだけでは意味がありません。得られたインサイトを実際のマーケティング戦略や施策にどう活かすかが重要です。

以下では代表的な3つの活用場面を紹介します。

広告クリエイティブの改善|感情分析と脳波で“刺さる表現”を導く

広告やLP(ランディングページ)を最適化するには、単なるクリック率(CTR)やCV率だけでなく、視覚・感情の動きまで考慮する必要があります。

  • ABテストだけでは見えない「なぜ刺さったのか」の理由を脳波や視線で補足
  • 感情分析により、ユーザーが好意を抱いた場面・離脱した要因を明確化
  • 結果:反応が良かった表現に寄せた広告バナーやキャッチコピーを展開

実際にGoogleやMeta(旧Facebook)などもアイトラッキングや脳波を使い、動画やSNS広告の改善を図っています。

パッケージデザイン・売場設計|注視エリアと記憶の関係を可視化

棚に並んだ商品パッケージのうち、どれが視線を集め、記憶に残っているのか?これは購買行動に直結する重要な情報です。

  • アイトラッキングで、視線が最も集まった箇所を特定(ロゴ位置・色・イラストなど)
  • 視認性と印象に残るデザインの共通項を把握し、再設計に活用
  • 記憶保持率テスト(数日後の再認知調査)と組み合わせることで、「記憶に残る=購入される」要素を特定可能

実際にアサヒビールや日清食品などが、こうした手法でパッケージ改善と売上向上を実現しています。

価格戦略やブランディング評価|“高くても選ばれる”印象設計へ

消費者は価格だけでなく、ブランドやパッケージの印象によって「買う価値」を判断しています。

  • fMRIで、ブランドロゴや価格提示時に脳の報酬系が活性化するかを測定
  • EEGで「高価格でも好意を持たれたデザイン・文言」を特定
  • 「高い=品質が良い」「信頼できるから選ぶ」と感じさせる表現づくりに役立つ

ブランド戦略や価格帯の見直しにおいて、感覚に頼らない“科学的裏付け”として機能します。

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まとめ|消費者行動分析は顧客理解の最強ツール

消費者行動分析は、マーケティング施策の「根拠」となるデータを提供するだけでなく、顧客の“心の動き”を捉えるための羅針盤です。以下のようなポイントを押さえることで、精度の高いマーケティング戦略の構築が可能になります。

  • 「数字で見える行動」と「数字にならない感情」の両面を捉えることで、商品・広告・サービスの本質的な改善ができる
  • 行動モデルや脳科学などのフレームを組み合わせることで、心理的な導線設計やブランディングにも活かせる
  • 価格やパッケージ、広告表現など、全方位のマーケ施策に反映可能であり、社内説得・クライアント提案にも強い説得力を持つ

データ分析だけではなく、人間理解の視点を組み合わせることで、「勘」や「センス」に頼らない、成果の出るマーケティングが実現します。今後はAIの発展により、こうした分析がリアルタイムで可能になる時代も到来するでしょう。

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執筆者
遠藤 貴則法廷臨床心理学博士 Takanori K. Endo

法廷臨床心理学博士・ニューロマーケティング(脳科学マーケティング)トレーナー
株式会社ビジネスサイエンスジャパン取締役。ビジネスサイエンストレーニングアカデミー学長。

1985年東京都文京区生まれ。神奈川県横浜市のサン・モール・インターナショナル・スクールの高校を卒業。
2006年米国オレゴン州ルイス&クラーク大学にて心理学専攻及び中国語を副専攻で大学卒業。
2008年米国フロリダ州アルビズ大学大学院にて心理学修士課程修了。
2013年同大学院臨床心理学博士号、法廷特化で卒業(博士論文Doctoral Project:Endo, T. K. (2012) Test Construction: Clinician’s Gay Male Competence Inventory. (Doctoral dissertation, Carlos Albizu University)。後、オレゴン州にて臨床心理学社の国家治療免状を獲得。マイアミ市警、FBI、CIAの調査支援を行った実績を持つ。
2017年には薬物依存人口を減らした功績を称えられ、2017年フロリダ州ジュピター市より表彰される(2017 Best of Jupiter Awards - Drug Abuse & Addiction Center)。現在は実践的ビジネスサイエンス、実践的心理学、脳科学的教育、ニューロマーケティングの普及、後進の育成に努める。著書に『売れるまでの時間-残り39秒 脳が断れない「無敵のセールスシステム」』(きずな出版)、共著に『仕事の教科書』(徳間書店)がある。

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