LINE友だち追加 お問合わせ

行動経済学の「フレーミング効果」とは?ビジネスにも役立つ心理効果

行動経済学の「フレーミング効果」とは?ビジネスにも役立つ心理効果

「買うつもりはなかったのに、言われ方ひとつで決断してしまった」そんな経験、ありませんか。これは“フレーミング効果”という心理現象の影響かもしれません。

本記事では、行動経済学の代表的バイアス「フレーミング効果」について、日常・広告・恋愛・政治などの身近な事例とともにわかりやすく解説します。

フレーミング効果とは?|選び方で“印象”が変わる心理現象

フレーミング効果とは、まったく同じ内容の情報でも、言い回しや見せ方によって相手の判断や印象が変わる心理現象です。

たとえば「このヨーグルトは脂肪80%カット」と言われるとヘルシーに感じますが、「脂肪が20%含まれています」と言われると少し不健康に感じますよね。

このように“伝え方”の違いが人の選択に大きく影響するのです。行動経済学ではこの傾向を明らかにし、ビジネスや日常での活用が進められています。

なぜ人は言い回しに影響されるのか|心理学の視点

人の判断は、数値や事実そのものよりも、「どう伝えられたか」によって大きく左右されます。
ここでは、フレーミング効果が生まれる心理的背景を掘り下げてみましょう。

ポジティブとネガティブのバランスが意思決定を左右する

「80%成功」と聞くと安心感がありますが、「20%失敗」と聞くと不安になります。実際には同じ数値であっても、印象は真逆です。

なぜなら、人間が“損を避けたい”という損失回避バイアスを強く持っているからです。ポジティブな表現は安心感を、ネガティブな表現は警戒心を刺激します。

そのため、同じ商品でも「表現のフレーム」を変えるだけで、購入率が変わることもあるのです。

脳は確率より“感情”を優先する仕組み

行動経済学の研究によると、脳は数値的な確率よりも、直感的な「感じの良さ」で判断を下す傾向があります。

たとえば、カーネマンとトヴェルスキーの有名な実験では、病気の治療法を「生存率90%」と説明するのと「死亡率10%」と説明するのとで、被験者の選択が大きく異なりました(Tversky & Kahneman, 1981)。このように、フレーミング効果は“感情が優先される人間の意思決定”を如実に表す現象なのです。

日常生活にあるフレーミング効果をわかりやすく解説!

フレーミング効果は特別なシチュエーションだけで起きるものではありません。私たちが毎日無意識に行っている選択の中にも、無数の“フレーム”が潜んでいます。

恋愛や人間関係での“印象操作”

たとえば、初対面の人に対して「社交的な性格」と紹介された場合と「少し馴れ馴れしい性格」と紹介された場合では、相手への印象がまったく異なります。

同じ人物、同じ行動でも「どう表現されたか」で受け取り方が変わるのがフレーミング効果です。これは恋愛だけでなく、就職活動やプレゼンなど、対人関係全般で大きな影響を持ちます。

広告・商品パッケージに潜む心理戦略

広告コピーは、フレーミング効果の宝庫です。

たとえば「脂肪80%カット」と聞くと“ヘルシー”に見えますが、「脂肪20%入り」と書くと“まだ脂肪がある”と感じてしまう人が多いのです。

また「あと3個!」と残数を強調することで、「早く買わなきゃ」と感じさせるのも、フレーミングによる行動誘導です。言葉ひとつで購買意欲は劇的に変化します。

メディアや政治での“言葉の選び方”が意見を左右する

ニュース番組や政治演説では、同じ事実を「支持率〇%」と伝えるか「不支持率〇%」と伝えるかで、受け手の印象が大きく変わります。

たとえば「国民の80%が支持」と表現すれば安心感を持ちますが、「20%が反対」と言えば不安が強調されます。

メディアにおける「印象操作」の正体は、このようなフレーミングにあるのです。

ビジネス活用法|“見せ方”次第で選ばれ方が変わる

マーケティングや営業、商品開発の現場では、フレーミング効果の応用が売上や契約率を大きく左右します。

営業トークや商品説明でのフレーミング

「この商品を導入すれば、年間10万円のコスト削減につながります」と伝えるのと、「導入しないと毎年10万円損します」と伝えるのでは、受け手の判断が変わることがあります。

後者の方が“損失回避”の心理に働きかけるため、より強く動機付けされる傾向にあります。特にBtoBでは、数字の出し方や伝え方が商談の結果を左右する場面が多いです。

価格・プラン設計にも効果的に応用

「月々わずか1,000円」と表示することで、金額が小さく感じられ、申し込みのハードルが下がります。一方、「年間12,000円」と提示すると“高い”と感じるかもしれません。

また、3つのプランを用意し、真ん中の「スタンダードプラン」に“いちばん人気”とラベルを貼ることで、選ばれる確率が大幅にアップします。これも見せ方=フレーミングのテクニックです。

注意点|“操作的”にならないための配慮

フレーミング効果は強力な心理技術であるがゆえに、使い方を誤ると“操作された”と感じさせてしまうリスクがあります。正しい理解と倫理的配慮が不可欠です。

誇張・ミスリードにならない範囲での表現設計

フレーミングはあくまでも「伝え方の工夫」であり、嘘やごまかしではないことが大前提です。

たとえば「80%の人が効果を実感」と伝える場合、その調査母数や条件が曖昧であれば信頼を損ねます。過度にポジティブな表現や“本当は大した違いがない”のに印象を操作するような見せ方は、ユーザーの反感を招きかねません。

倫理的なマーケティングへの意識が重要

特に医療、金融、政治といった“判断の重み”が大きい分野では、表現の選び方が社会的責任に直結します。

「自由に選べる状態を確保しているか?」「受け手にとって不利益はないか?」といった視点を常に持つことが、信頼される情報発信につながります。

論文・実験で裏付けられたフレーミング効果の実証

行動経済学のフレーミング効果は、数多くの学術研究によって信頼性が実証されており、実際のマーケティング設計にも活かされています。

Kahneman & Tverskyによる有名な実験

1979年、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーは、「アジア疾病問題」として知られる実験を行いました。

同じ選択肢であっても、「200人が助かる」フレームと「400人が死ぬ」フレームでは、選ばれる選択肢が大きく異なることを明らかにしました。

この実験は、私たちがいかに“印象”で判断しているかを如実に示す代表例です。

広告・商品設計に関する論文紹介

近年ではECサイトにおける価格表示の違いや、レビューの“見せ方”による購買行動の変化を分析した論文も多数発表されています。

たとえば「高評価の割合」だけを強調した場合と、「低評価も含めた率直なレビュー」を併記した場合で、購買率や信頼感にどのような差が出るかが比較されています。

このような研究は、ユーザー視点に立った“誠実なフレーミング”の設計に活かせる貴重な知見となっています。

まとめ|フレーミング効果を知れば“伝え方”が変わる

フレーミング効果は、人間が“合理的なはずの情報”すら、感情や表現の影響で非合理に受け取ってしまう心理現象です。

この知識を活かせば、ビジネスではより効果的なマーケティング戦略を、日常ではより意識的な意思決定を行えるようになります。商品の紹介文、営業資料、社内プレゼン、すべてが“見せ方ひとつ”で結果が変わるのです。

ただし、重要なのは“誠実さ”を忘れないこと。操作や誘導ではなく、「相手にとっても納得感のある伝え方」を意識することが、長期的な信頼と成果につながります。

人の行動は、情報そのものではなく「どう伝わったか」で決まる。その事実を胸に、あなたの言葉もまた、誰かの選択を変える“フレーム”になるのです。

次世代マーケティング戦略を無料プレゼント

この記事をお読みいただいた方へ、期間限定の特典をご用意しました。公式LINEにご登録いただくと、以下の豪華特典(すべて無料)を今すぐお受け取りいただけます。

  • 「人の心理とビジネスを10年以上研究しつづけた結果 成功するビジネスの作り方まとめ」(動画)
  • 「AIに勝てるニューロマーケティング本」(PDF)
  • 「私があなただけに教えるAIを使ってマーケティングする方法」(PDF)
  • 「黒字から始めるマーケティングのやり方」(PDF)

どれも、経営者やマーケターの皆様にとって明日から実践できるヒントが満載のコンテンツです。LINE登録はわずか30秒で完了しますので、ぜひ友だち登録して特典をお受け取りください!成功するビジネスへのヒントを詰め込んだ資料と動画を手に、新たなマーケティング施策に踏み出してみましょう。

継続的に顧客の心と脳を研究し、賢く脳科学を活用することで、きっとあなたのマーケティングも次のステージへと進むはずです。ぜひこの機会にニューロマーケティングの第一歩を踏み出してください。

執筆者
遠藤 貴則法廷臨床心理学博士 Takanori K. Endo

法廷臨床心理学博士・ニューロマーケティング(脳科学マーケティング)トレーナー
株式会社ビジネスサイエンスジャパン取締役。ビジネスサイエンストレーニングアカデミー学長。

1985年東京都文京区生まれ。神奈川県横浜市のサン・モール・インターナショナル・スクールの高校を卒業。
2006年米国オレゴン州ルイス&クラーク大学にて心理学専攻及び中国語を副専攻で大学卒業。
2008年米国フロリダ州アルビズ大学大学院にて心理学修士課程修了。
2013年同大学院臨床心理学博士号、法廷特化で卒業(博士論文Doctoral Project:Endo, T. K. (2012) Test Construction: Clinician’s Gay Male Competence Inventory. (Doctoral dissertation, Carlos Albizu University)。後、オレゴン州にて臨床心理学社の国家治療免状を獲得。マイアミ市警、FBI、CIAの調査支援を行った実績を持つ。
2017年には薬物依存人口を減らした功績を称えられ、2017年フロリダ州ジュピター市より表彰される(2017 Best of Jupiter Awards - Drug Abuse & Addiction Center)。現在は実践的ビジネスサイエンス、実践的心理学、脳科学的教育、ニューロマーケティングの普及、後進の育成に努める。著書に『売れるまでの時間-残り39秒 脳が断れない「無敵のセールスシステム」』(きずな出版)、共著に『仕事の教科書』(徳間書店)がある。

プロフィール詳細はこちら

関連記事

「無料」の心理効果とは?ゼロ円オファーで売上を伸ばす正しい使い方と注意点を徹底解説

「無料」の心理効果とは?ゼロ円オファーで売上を伸ばす正しい使い方と注意点を徹底解説

努力しても報われないあなたへ|結果が出ない“本当の理由”と人生を変えるOSの書き換え方

努力しても報われないあなたへ|結果が出ない“本当の理由”と人生を変えるOSの書き換え方

勉強しても結果が出ない理由──脳科学と行動設計で学びを成果に変える

勉強しても結果が出ない理由──脳科学と行動設計で学びを成果に変える

戻る