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禁断の霊感商法マーケティング:ニューロサイエンティストが教えるビジネスへの応用方法

禁断の霊感商法マーケティング:ニューロサイエンティストが教えるビジネスへの応用方法

「霊感商法なんて自分には関係ない、そう思っていませんか?実はその裏側には、私たちの日常にも通じる、深い心理メカニズムが隠されているのかもしれません。」

「まさか今時、霊感商法なんて…」「なぜあの怪しい手口がなくならないんだろう?」 もしかしたら、そんな風に不思議に思っている方がいらっしゃるかもしれませんね。あるいは、身近な人が引っかかってしまい、どうして?と心を痛めている方もいるのではないでしょうか。

今日のテーマ、「禁断の霊感商法マーケティング」は、耳にするとなんだか怖い響きですが、実は私たちのすぐ隣にある、見過ごせない現実の一つでもあります。なぜ、あの手この手の悪質な商法がなくならないのでしょう?それは、残念ながらそこに「騙されてしまう消費者」が存在し、そして彼らが「稼ぐためのビジネス」として、ある意味では真剣にマーケティングを行っているという側面があるからなのかもしれません。

本記事では、臨床心理学者であるタカ博士が、霊感商法がなくならない心理的な理由を、心理学の視点から分かりやすく解説していきます。そして、そこから私たちの健全なビジネスにも活かせる、人間の心に関するヒントを探ってみたいと思います。

霊感商法はなくならない?

今日のテーマは「禁断の霊感商法マーケティング」です。霊感商法は、基本的にはタブーとされる悪質な行為です。人を心理的に追い詰めて、どんな商品でも売りつけてしまうと言っても過言ではないかもしれません。なぜこのような商法がなくならないのでしょう?そこには、私たちの心の隙間や、そこを巧みに突いてくる「ビジネス」の仕組みがあるように思うのです。

なぜなくならないのか?心理学的な理由とビジネスの現実

霊感商法がなくならない理由を考える前に、少し意外に思われるかもしれない話をしましょう。心理学的な視点から見ると、霊感商法も、ある種の製薬会社のアプローチも、似たような部分を持っているように感じることがあります。

それは、「プラシーボ効果」の活用です。信じることによって、実際に良い効果を感じられる、という私たちの心の仕組みをうまく使っているんですね。例えば、ある抗うつ剤は副作用が少ないと言われますが、それは同時に主作用もマイルドである、ということでもあるようです。しかし、それを信じて服用することで気分が良くなるなら、それはそれで一つの結果と言えるでしょう。

問題は、それが法外な値段であったり、相手を脅すような悪質な手法で売りつけられたり、消費者が不当に搾取されたりする場合です。霊感商法は、まさにこの「悪質でボッタクリ」なサービス提供が問題視されているわけですね。

しかし、「売る」というマーケティングの観点から見てみると、霊感商法がずっと存在し続けているのには、やはり理由があると考えられます。そこに、私たちが学び取るべき点があるのも事実かもしれません。例えば、日本のオンラインマーケティングで最も強力だと言われるのはアダルト業界だそうです。これは、人間の根源的な欲求が非常に強いエネルギーを持っているからかもしれません。ポケットティッシュが今でも配られ続けるのにも理由があるように、霊感商法がなくならない理由も、どこかにそれを必要としてしまう消費者がいるから、と言えるのではないでしょうか。

残念なのは、彼らが提供するサービスよりも、もっと健全な形で問題解決ができるサービスや、本当に人の助けになる商品があるにも関わらず、こうした悪質な商法が成り立ってしまっている現実です。

では、この悪徳霊感商法から、私たちはどんなことを学ぶことができるのでしょう?

悪徳霊感商法から学ぶべき3つのビジネス視点

悪徳霊感商法を、その悪い側面から目を背けずに、冷静にビジネスの仕組みとして分析してみると、興味深い3つの要素が見えてきます。

  1. 的確なターゲット選定(セグメンテーション)の巧みさ
  2. 恐怖をマネジメントする「テラー・マネージメント理論」の応用
  3. 巧みな言語誘導のテクニック

1. 的確なターゲット選定(セグメンテーション)の巧みさ

悪徳な霊感商法は、驚くほど明確なターゲット層を持っているようです。完全に信じない人、すでに深く信じている人、そして「もしかしたら、あるのかもしれない…」「なんだか最近ツイてないから、もしかして…」という、いわゆるグレーゾーンにいる人たちです。完全に信じている人たちは、すでに信頼できる場所(神社やお寺など)を頼っていることが多いかもしれません。悪徳商法が主に狙うのは、まさにこのグレーゾーンの人たちなのではないでしょうか。

近所の神社やお寺が昔ほど身近ではなくなり、気軽に相談に乗ってもらえない、お守りなどもあまり売っていない…そんな、ちょっとした心の拠り所が失われつつあると感じているようなセグメントを見つけて、そこに付け入る。これは、ある意味でターゲットリサーチをしっかり行っているとも言えるのではないでしょうか。ビジネスとしては、学ぶべき視点かもしれません。

「霊感商法なんて信じないから関係ない」ではなく、「なぜそんなものが売れるんだろう?」と好奇心を持って考えてみるのが、ビジネスパーソンとしての面白い視点かもしれません。自分が絶対に買わないと思っていても、それが実際に売れているのなら、その背景を調べてみる価値はあるように思います。彼らは、私たちが想像する以上に真剣に、そして巧妙にマーケティングを実践しているのかもしれません。日本の個人事業主の多くが年商500万円以下と言われる中で、霊感商法の市場規模は年間1500億〜2000億円とも言われています。実際に、彼らは経済的に成り立っているようです。そこに、私たちが学ぶべきセグメンテーションの考え方があるのかもしれません。

2. 恐怖をマネジメントする「テラー・マネージメント理論」の応用

次に、「テラー・マネージメント理論」、日本語では「恐怖管理理論」と呼ばれる心理学の考え方です。まさかこれをブログで解説する日が来るとは思いませんでしたが、霊感商法マーケティングの核心とも言えるのが、相手を心理的な恐怖状態に陥らせるという手法です。

人間は、強い恐怖を感じると、少し「コンサバティブ(保守的)」になる傾向があると言われています。現状維持を好み、どうすれば良いか分からなくなったときに、分かりやすいリーダーや、専門家、権威性のある人の言うことに従いやすくなる、という性質があるようなのです。これは、原始時代からの本能的な反応とも考えられています。危険を感じたときに、経験豊富なリーダーについていくことで、生き残る確率が高まったからかもしれません。

このメカニズムは、現代でも無意識のうちに働いていることがあります。例えば、9.11同時多発テロのような大きな恐怖の後、当時のブッシュ大統領の権威性が一気に高まり、恐怖に駆られた国民は、通常なら考えにくい戦争という選択肢さえ受け入れてしまった、という事例もあるようです。強い恐怖を感じると、人は自分の頭で考える合理性を手放してしまう傾向があるのかもしれません。

霊感商法は、ちょうどこの「合理性を手放した状態」に付け入るように見えます。「このままでは大変なことになる」「何か恐ろしいことが起きている」といった漠然とした不安や具体的な恐怖を煽り、そこに「この壺が」「このあずきが」あなたを救ってくれるアイテムだと提示するのです。合理的な判断ができなくなっているからこそ、冷静に考えればあり得ないような商品でも、「これが私を救ってくれるかもしれない」とすがりついてしまうことがあるのかもしれません。

経済状況もこれに関わってくるように思います。経済が豊かな時は、人は「これを手に入れたらこんなに良いことがある!」という、未来への希望やポジティブなメッセージに反応しやすいものです。素敵なクルーズ旅行のような、贅沢にお金を払う余裕も生まれるかもしれません。逆に、不況で将来への不安や恐怖が高まると、人は財布の紐を固くし、動かなくなりがちです。

この、恐怖で動かなくなった人を動かすには、さらに強い恐怖を与えるか、あるいはその恐怖から救ってくれるヒーローとして自分が現れるか、というアプローチが考えられます。「このままでは大変なことになる」という恐怖の種を相手の心の中に育て(これはある種の教育とも言えるかもしれません)、そこに「私があなたを救ってあげますよ」というポジションを取る。そうすることで、あなたは圧倒的な専門家のように見え、相手は言われるがままになってしまうことがあるのかもしれません。有名な自己啓発書などが「このままでは経済が崩壊し、あなたのお金は紙切れになる」「だからこそ、今、必要なのは経済知識なんです」と危機感を煽り、自分の商品やサービスに誘導するのも、このテラー・マネージメント理論が応用されている例の一つと言えそうです。

霊感商法に騙される人の多くが50歳以上であるというデータもあるようですが、これもこの恐怖管理理論とセグメンテーションの巧みさを示唆しているのかもしれません。50歳を過ぎると、健康、老後、親の介護、子供の将来など、人生における様々なストレスや将来への漠然とした不安、そして恐怖が一気に高まるタイミングがあるのではないでしょうか。まさに、恐怖の種が育ちやすいタイミングであり、彼らはそういった層をターゲットにしているのかもしれませんね。

3. 巧みな言語誘導:恐怖に付け入る話術

そして、最後に「巧みな言語誘導」です。テラー・マネージメント理論で相手が心理的な恐怖状態に陥り、あなたが信頼できる専門家のように認識されたら、後は言葉の力で相手を誘導していくという段階です。ここでは、私たちがマーケティングにも使える、いくつかの言語誘導のテクニックが見られるように思います。

  • 「ありがとうございます」の活用: 相手が反論しようとしたり、疑問を口にしたりした瞬間に「ありがとうございます」と言うことで、相手の思考の流れを一度リセットしてしまうテクニックです。「それだけ気にされているということは、それだけ重要なことなんですね」などと、相手の言葉を自分の都合の良いように意味づけし直してしまう。これは会話の主導権を握る上で有効な手段かもしれません。
  • 質問攻め: 会話の主導権を握るのは、多くの場合、最も質問をしている人だと言われます。「最近疲れていませんか?」「その不調、このまま放っておいて大丈夫だと思いますか?」「本気で解決したいと思いませんか?」と畳み掛けるように質問し、相手を「はい」「いいえ」で答えさせることで、最終的に自分が誘導したい結論(この商品が必要です、このサービスが必要です)へと追い込んでいく。イエス・ノーで答えるしかないような質問で相手の思考を制限し、まるでフローチャートのように誘導していく手法と言えるでしょう。
  • ストーリーテリング: 恐怖を煽るような具体的なストーリーを語ることで、相手の感情に強く訴えかけます。過去に起きた不幸な事例、このままでは未来に起こりうる恐ろしい出来事などを語り、感情的な動揺を誘うのです。これは、人の心を動かす上で非常に強力な手法となり得ます。
  • ミルトン言語パターン: これは、催眠療法で有名なミルトン・エリクソンが使っていた、少し抽象度が高く、聞いている側に暗示がかかりやすいような言語パターンです。例えば、「あずきのブレスレットかネックレス、どちらになさいますか?」のように、どちらを選んでも結果は同じ(あずきを買う)という「ダブルバインド」のような構造を使ったり、状況や背景に勝手に意味付けをする「利用」というパターンを使ったりします。「今電気が消えたのは、あなたの問題に光を当てるべきではない、というサインかもしれませんね」のように、偶然の出来事を自分の都合の良い解釈で語ることで、相手に暗示をかけていく。これは、私たちの脳に本能的に備わっている、「目の前の物事に意味付けをしたがる」という性質を利用しているのかもしれません。

これらの言語誘導を巧みに組み合わせることで、恐怖に駆られ、冷静な判断ができなくなっている相手をさらに混乱させ、最終的に、まるで自分の意思で選んだかのように商品購入へと誘導されてしまうことがあるようです。

学びをどう活かすか?健全なビジネスのために

霊感商法から学ぶべき点は、決して彼らの悪質な手法を真似るということではありません。そうではなくて、彼らがなぜ一定の売上を上げられるのか、その裏側にある人間の心理メカニズムを理解し、それを私たちの、顧客に本当の価値を提供する健全なビジネスに応用してみる、ということではないでしょうか。

例えば、こんな視点で考えてみることができるかもしれません。

  • 顧客自身も気づいていない、隠れた不安や悩みを特定する(これは、セグメンテーションの深掘りにつながります)
  • 顧客が心の奥底で感じているかもしれない「恐怖」を理解し、そこから救い出せるような、本質的な価値を提供する(テラー・マネージメント理論を、ポジティブな方向で応用するイメージでしょうか)
  • 提供する価値を、顧客に分かりやすく、そして相手の心に自然と響くような言葉で伝える(言語誘導のテクニックを、誠実に活用するということです)

重要なのは、彼らがやっているように情報弱者から一方的に搾取するのではなく、顧客が抱える問題を本当に理解し、その解決のために心から寄り添い、確かな価値を提供することです。

私たちは、ビジネスを通じて社会に貢献することを目指すべきだと、私はそう信じています。しかし、そのためには、残念ながら、彼らのように顧客心理を深く分析し、ある意味では非常に効果的な手法を用いている側面がある、という現実があることも、知っておく必要があるかもしれませんね。

まとめ:霊感商法から学ぶ人間の心理とビジネスの現実

今回、少し重いテーマかもしれませんが、禁断の霊感商法マーケティングについて、そのメカニズムと、そこから見えてくるビジネスへの示唆を深く掘り下げて考えてみました。

私たちマーケターの仕事は、ある意味、「問題」を売る側面もあるのかもしれません。顧客自身がまだはっきりと気づいていない問題、漠然と感じている不安や不満を、言葉や表現を通じて顕在化させ、それに対する解決策として、自社のサービスや商品を提示する。霊感商法は、その極端な形の一つとも言えるでしょう。

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執筆者
遠藤 貴則法廷臨床心理学博士 Takanori K. Endo

世界40ヵ国以上から累計23万人以上が受講する国際的スピーカー、トレーナー、元アルビズ大学准教授。

アメリカ、オレゴン州のルイス&クラーク大学で心理学で学士を取り、フロリダ州のアルビズ大学にて心理学の修士と臨床心理学、法廷特化の博士号を取得。2015年にオレゴン州の臨床心理学者としての国家治療免状を得る。過去にアメリカ心理学会、国際心理学会、アメリカ法廷心理学会など数多くの学会で研究を発表している。

日本帰国後は日々実践できる科学をテーマにニューロマーケティング(神経マーケティング)、教育学、経営学、統計学などを教え述べ23万人以上の講演会を開催。

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