スタバも活用する「アーキタイプ」。12のブランド戦略で顧客の心をつかむ【ニューロマーケティング】

「皆さんは、商品やサービスを選ぶとき、なぜか惹きつけられるもの、脳裏に焼き付いて忘れられないものに出会ったことはありませんか?」
なぜ、一部のブランドやハリウッドスターは、あれほどまでに私たちの記憶に残り、強い印象を与えるのでしょうか?「これは、私のことだ、。私に関係ある記事だ、」と感じる方も多いかもしれません。 今回のテーマである「顧客の心に深く響くブランディング戦略「アーキタイプ」」は今、ビジネスにおいて、特に記憶に残るブランドづくりを目指す上で注目されています。 本記事では、「マーケティング侍」り先生と法廷臨床心理博士の鷹博士が語る、印象に残る秘密「アーキタイプ」とは何か、そしてそれをどう活用するかを詳しくご紹介します。
なぜブランディングが重要なのか?
「なぜ、同じような商品なのに、特定のブランドばかり売れるんだろう?」みなさん、そう思ったことはありませんか?
ブランディングの語源は、家畜に焼き印(ブランド)を押して所有者を明確にすることから来ています。これは「保証」を意味しました。しかし現代では、単なる保証を超え、人々の記憶に焼き印を押すように、脳裏に深く印象を残すことが重要になっています。
なぜなら、記憶に残るブランドは、高価格でも選ばれるからです。例えば、スターバックスのコーヒーはコンビニコーヒーより高価ですが、多くの人が選びます。高級ブランドバッグも同様です。これは、ブランドが持つ力、つまり私たちの記憶に深く刻み込まれた「印象」によるものです。
では、どうすればそんな強い印象を残せるのでしょうか?ここで登場するのが「アーキタイプ」です。
印象に残るメカニズム「アーキタイプ」とは?
「アーキタイプって、難しそう…?」いえ、実は皆さんの日常にも深く関わっています。
アーキタイプとは、人間の集合的無意識の中にある、普遍的な「元型」や「原型」のこと。一度見たら忘れられない、深層心理をくすぐるようなイメージのことです。
実は、世界中でヒットする物語や映画(スターウォーズなど)には、必ずと言っていいほどアーキタイプが戦略的に使われています。登場人物の役割や設定が、時代や文化を超えてどこか似通っていると感じたことはありませんか?一般人代表、戦士、賢者…これらのキャラクターは、アーキタイプに基づいています。
成功しているブランドも、このアーキタイプを巧みに利用しています。
例:スターバックスの「探索者」ブランディング
「スターバックスが、なぜあんなに人気なんだろう?」その秘密の一つが、巧みなアーキタイプ戦略です。
スターバックスは、まさにアーキタイプ戦略の成功例です。彼らが選んだアーキタイプは「探索者」。
- ロゴ: 船の先端についている人魚や女神のマーク。これは航海や旅を連想させます。
- 店舗展開: 港、空港、バス停、観光地など、人々が旅立つ場所や立ち寄る場所に積極的に出店。これは「探索」のイメージと合致します。
- スリーブ: コーヒーカップの周りにつけるダンボール製のアレ。旅の途中でも持ち運びやすいように考案され、スターバックスが流行らせました。これも移動、つまり「探索」との親和性が高いアイテムです。
- 海外での位置づけ: 海外では、スターバックスがあるエリアは比較的安全と言われています。旅行者にとっての「安息の地」となり、情報交換や休憩の場として利用されています。これも「探索」をサポートする役割です。
コーヒーショップという本質を持ちながら、「探索者」というイメージで一貫したブランディングを行うことで、スターバックスは私たちの記憶に深く刻み込まれ、単なるコーヒーショップを超えた存在となりました。
ペルソナ vs ソウル ~ ブランディングの二面性
ブランディングって、要は「見せ方」でしょ?と思った方、もう少し深掘りしてみましょう。
ブランディングを考える上で、「ペルソナ」と「ソウル」という2つの概念を理解することが重要です。
- ペルソナ (Persona): 仮面という意味。顧客に見せる「パッケージ」や「売り出し方」のこと。ブログ記事やCMなどで、どのように自社や商品を打ち出すか。
- ソウル (Soul): 魂、本質という意味。実際に提供している商品やサービスの中身、品質のこと。車の例で言えば、スプリングの性能が良いという事実(ソウル)ではなく、その結果として「安心して乗れる、子供を乗せても大丈夫な車」(ペルソナ)として売り出すイメージ。
今回のブランディング戦略は、主にこの「ペルソナ」、つまり「お客さんから見て自分たちはどう思われているか(どう思われたいか)」に焦点を当てていきます。
12種類のアーキタイプとその特徴
「自分や自分のビジネスは、どのタイプに当てはまるんだろう?」考えるヒントとなるのが、この12種類のアーキタイプです。
アーキタイプは全部で12種類あります。あなたの商品やサービス、あるいはあなた自身をブランディングする際、どのカテゴリーで勝負するかを考える参考にしてください。
ただし、既に競合が強力なアーキタイプを選んでいる場合、同じカテゴリーで勝負するのは難しいかもしれません。参入障壁や、あなた自身の個性との一致も考慮しながら選ぶことが重要です。
以下に、12種類のアーキタイプとその例を紹介します。
無垢 (Innocent): イメージ: 純粋、シンプル、安全、懐かしい、子供っぽい。 企業例: ダブ、ベビー用品ブランド、無印良品(シンプルさ)。 ハリウッドスター例: トム・ハンクス、ジェニファー・アニストン、アン・ハサウェイ。 特徴: 潔癖さや純粋さを強調。昭和のアイドルなどもこのタイプに当てはまります。
探検家 (Explorer): イメージ: 自由、発見、冒険、自己実現、未知への挑戦。 企業例: スターバックス、コロンビア、パタゴニア。 ハリウッドスター例: ハリソン・フォード、アンジェリーナ・ジョリー、クリス・プラット。 特徴: 新しい場所への旅や、自己発見をサポートするイメージ。
賢人 (Sage): イメージ: 知恵、真実、専門性、指導、客観性。 企業例: ウォール・ストリート・ジャーナル、Google、大学。 ハリウッドスター例: モーガン・フリーマン、イアン・マッケラン、ジョージ・ジェンキンス。 特徴: 知識や情報を提供し、人々を賢く導く存在。り先生のチャンネルもこのタイプに近いかもしれません。
ヒーロー (Hero): イメージ: 勇気、勝利、克服、強さ、目標達成。 企業例: ナイキ、アディダス、スポーツ関連ブランド。 ハリウッドスター例: クリス・ヘムズワース、ガル・ガドット、ヒュー・ジャックマン。 特徴: 戦う人々をサポートしたり、困難を乗り越える手助けをするイメージ。
反逆者 (Outlaw): イメージ: 革命、ルール破り、自由、現状打破、異端児。 企業例: ハーレーダビッドソン(主流に逆行する)、チェ・ゲバラ(Tシャツ)。 ハリウッドスター例: レディ・ガガ、ジェームズ・ディーン、ホアキン・フェニックス。 特徴: 常識に疑問を投げかけ、独自の道を行く。マーケティング侍チャンネルの「常識をバッサバッサ」という部分も、この要素を含んでいます。
魔術師 (Magician): イメージ: 変化、魔法、解決、実現、神秘。 企業例: Apple(iPhone一つで多くのことが可能に)、Netflix(多様なコンテンツが見れる)。 ハリウッドスター例: ベネディクト・カンバーバッチ、ニコール・キッドマン、ダニエル・ラドクリフ。 特徴: 人々の願いを叶え、物事を簡単に、あるいは不可能を可能にするイメージ。破壊的イノベーションを起こす力を持つ。
世話人 (Caregiver): イメージ: 保護、サポート、癒し、思いやり、安全。 企業例: ホテル(マリオットなど)、子供用品(パンパースなど)、医療関連。 ハリウッドスター例: メリル・ストリープ、トム・ハンクス、サンドラ・ブロック。 特徴: 人々をケアし、安心や癒しを提供する存在。
想像者 (Creator): イメージ: 創造、芸術、革新、自己表現、ユニークさ。 企業例: レゴ(組み立てて自由に創造)、YouTube(ユーザーがコンテンツを作るプラットフォーム)。 ハリウッドスター例: ジョニー・デップ、ティム・バートン、ケイト・ブランシェット。 特徴: 新しいものを生み出す、創造性を刺激する。
支配者 (Ruler): イメージ: リーダーシップ、権威、成功、高級、コントロール。 企業例: ロールス・ロイス、高級ホテル(ヒルトンなど)、アメリカン・エキスプレス(一部カード)。 ハリウッドスター例: デンゼル・ワシントン、アンソニー・ホプキンス、メリル・ストリープ。 特徴: 成功者やリーダー層をターゲットにし、彼らのステータスや力を象徴するイメージ。
一般人 (Regular Guy/Gal): イメージ: 親しみやすさ、普通、リアル、共感、仲間意識。 企業例: ユニクロ、IKEA、無印良品(シンプルさと親しみやすさ)。 ハリウッドスター例: マイケル・J・フォックス、サンドラ・ブロック、ジム・キャリー(一部役)。 特徴: 誰にでも受け入れられやすく、日常生活に溶け込むイメージ。最も多くの人に響く可能性があるアーキタイプで、売れる書籍などにも多いタイプです。
恋人 (Lover): イメージ: 情熱、親密さ、美しさ、官能、ロマンス。 企業例: 白い恋人、キスチョコレート、下着ブランド(ヴィクトリアズ・シークレットなど)。 ハリウッドスター例: ライアン・ゴズリング、ジュリア・ロバーツ、スカーレット・ヨハンソン。 特徴: 人々の恋愛感情や親密な関係性に訴えかけるイメージ。バレンタイン商戦などでもよく使われます。
道化師 (Jester): イメージ: 楽しさ、ユーモア、遊び心、軽快さ、祝祭。 企業例: M&M’sチョコレート(カラフルで楽しい)、パーティーグッズ。 ハリウッドスター例: ジム・キャリー、ロビン・ウィリアムズ、メリッサ・マッカーシー。 特徴: 人々を楽しませ、日常に遊び心や笑顔をもたらすイメージ。
あなたの商品・サービスに合うアーキタイプを見つける方法
「私のビジネスは、どのアーキタイプが合っているんだろう?」そう考える方のために、具体的な方法をご紹介します。
自分の商品やサービスがどのアーキタイプに当てはまるのか、またはどのアーキタイプを目指すべきかを見つけるために、以下の視点でお客さんから見た自分の商品・サービスを考えてみましょう。
まず、あなたの商品・サービスは、お客さんの何かを…
- 始める、または作ることを手伝っていますか? (例:新しい趣味、クリエイティブな活動、1日の始まり)
- 変える、または継続することを手伝っていますか? (例:習慣改善、スキルアップ、継続的なサポート)
- 終える、止めたり完了させたりすることを手伝っていますか? (例:問題を解決して終わらせる、不要なものを止める)
次に、お客さんがあなたの商品・サービスを選ぶ(利用する)理由、つまりお客さんがあなたに求めているものは何ですか?
- 知識や経験が他とは違うから?
- 能力や技術が他とは違うから?
- システムや土台が他とは違うから?
- 人柄や人脈が他とは違うから?
これらの質問への答えの組み合わせによって、あなたのアーキタイプが見えてきます。
例えば、
- 「始める/作る」をサポートし、「知識/経験」を提供するなら、「賢人」や「想像者」の要素が強まるかもしれません。
- 「変える/継続する」をサポートし、「人柄/人脈」を重視するなら、「一般人」や「恋人」といった、人との繋がりを重視するタイプに近くなる可能性があります。
- 「終える/止める/完了させる」をサポートし、「知識/経験」を提供するなら、問題を解決に導く「賢人」や「魔術師」のタイプが考えられます。
カード会社の例で考えてみましょう。
- Visa: 「どこでも使える」=「一般人」タイプ。人々に広く寄り添うイメージ。
- Mastercard: 「経験プライスレス」=「探索者」や「ヒーロー」タイプ。特別な経験や挑戦をサポートするイメージ。
- PayPay: 「どこでも使える」=「一般人」タイプ。日常的な決済手段として浸透。
このように、顧客視点で自社の強みや提供価値を分析することで、最適なアーキタイプを見つけるヒントが得られます。
アーキタイプ決定後の戦略
「アーキタイプが決まったら、次は何をすればいいの?」いよいよ実践です。
自分の商品・サービスや自身のアーキタイプが決まったら、次はそのアーキタイプに沿って、全てのマーケティング活動やPR戦略を一貫して統一させることです。
- ターゲット顧客: そのアーキタイプに惹かれる層(例:「賢人」なら勉強熱心な層)を明確にし、彼らに響くメッセージを届けます。
- コラボレーション: 同じアーキタイプ、または相性の良いアーキタイプの個人や企業と連携することで、ブランドイメージを強化できます(例:「賢人」なら他の学者や研究者とコラボ)。
- 広告・PR: アーキタイプのイメージに合った媒体や表現方法を選びます(例:「探索者」なら旅行関連メディア、「賢人」なら教育機関)。スローガンなどもアーキタイプに基づいて決定します(例:「これが全ての答えだ」など)。
- 商品・サービスの改善: 可能であれば、アーkiタイプをより体現できるよう、商品やサービス自体、パッケージデザインなどを調整します。
最も重要なのは、最初は他のアーキタイプの要素を安易に混ぜないこと。「混ぜるな危険」です。まずは一つのアーキタイプを徹底的に追求し、そのポジションを確立することを目指しましょう。
スターバックスのように、ビジネスが十分に成長し、強固な基盤を築いてから、他のアーキタイプの要素(例えば「創造者」や「世話人」のような要素)を取り込んでいく「ハリウッド式」のブランディング戦略も可能になります。しかし、それはあくまで次の段階です。
まとめ:顧客の心に深く響く「アーキタイプ」ブランディング
印象に残るブランディングの鍵は、人間の深層心理に働きかける「アーキタイプ」にありました。
顧客の心に深く印象を残すブランディング戦略の鍵は、「アーキタイプ」にあります。12種類の普遍的な元型から、あなたのビジネスに最適なものを見つけ、ペルソナ(顧客に見せるパッケージ)として一貫したメッセージを発信することで、そのアーキタイプに共感するファンが集まり、自然な形でブランドが広まっていきます。
今回ご紹介したアーキタイプ分析の視点や、12種類のカテゴリーを参考に、ぜひご自身のブランディングを見直してみてください。
今回の内容が少しでも皆様のビジネスのヒントになれば幸いです。
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世界40ヵ国以上から累計23万人以上が受講する国際的スピーカー、トレーナー、元アルビズ大学准教授。
アメリカ、オレゴン州のルイス&クラーク大学で心理学で学士を取り、フロリダ州のアルビズ大学にて心理学の修士と臨床心理学、法廷特化の博士号を取得。2015年にオレゴン州の臨床心理学者としての国家治療免状を得る。過去にアメリカ心理学会、国際心理学会、アメリカ法廷心理学会など数多くの学会で研究を発表している。
日本帰国後は日々実践できる科学をテーマにニューロマーケティング(神経マーケティング)、教育学、経営学、統計学などを教え述べ23万人以上の講演会を開催。