営業で沈黙が怖いあなたへ〜「間」が持つ本当の力とは〜
「お客様、いかがですか……?」
その瞬間、相手が黙り込む。3秒、5秒……沈黙が続く。あなたの心臓は早鐘を打ち始め、「嫌われたかも」「断られるんだ」という不安が頭をよぎる。そして耐えきれずに「あ、ちなみにですね……」と、余計な補足説明を始めてしまう。
商談が終わったあと、「なんであそこで喋ってしまったんだろう」と後悔する。上司からは「もっとお客様の反応を待て」と言われるけれど、実際の場面ではやっぱり怖くて待てない。
そんな経験、ありませんか?
営業における沈黙は、多くの人が「怖い」と感じるものです。でも実は、トップセールスほど沈黙を味方につけています。この記事では、なぜ営業で沈黙が効果的なのか、その心理的メカニズムをお伝えします。読み終わる頃には、沈黙への恐怖が少し軽くなっているはずです。
営業が沈黙を恐れてしまう、脳の仕組み
商品説明を終えて、お客様に「いかがでしょうか」と聞いた瞬間。相手が黙って考え込む。その数秒間が、まるで何時間にも感じる。
実はこれ、あなたの営業スキルが低いからではありません。人間の脳には、沈黙を「危険信号」として認識する仕組みが備わっているんです。

沈黙は「拒絶のサイン」に感じてしまう
私たちの祖先は集団で生活していました。会話が途切れる=仲間から拒絶されるかもしれない、という危機感が本能的に刻まれているんですね。
だから営業の場面で、お客様が黙り込むと「断られる前兆だ」と感じてしまう。契約書を差し出した後の沈黙なんて、もう地獄のような時間に感じますよね。
「今、何を考えているんだろう」
「まずいこと言ったかな」
「このまま帰られたらどうしよう」
——頭の中で不安がぐるぐる回り始める。
そして我慢できなくなって、「あ、今ならキャンペーン価格でして……」と、また喋り出してしまう。せっかくお客様が「買おうかな」と心の中で決断しかけていたのに、その流れを自分で壊してしまうんです。
「間」が怖いのは、あなただけじゃない
営業職がきついと感じる理由の1つが、この「沈黙への恐怖」です。
お客様が考え込んでいる時間を、「気まずい時間」だと思ってしまう。だから埋めなきゃ、と焦る。
でも営業成績がいい人の特徴を観察してみると、彼らは平気な顔で沈黙の中に立っているんですよね。
なぜ彼らは怖くないのか。それは、沈黙の意味を知っているからです。
お客様の沈黙は「考えている証拠」
脳科学の視点から見ると、沈黙には別の意味があります。人は静かな時間に、初めて自分の内側と対話できるんです。
お客様が黙って考えている時間は、実は商品やサービスを自分ごととして受け止めている瞬間。「これを買ったら、自分の生活はどう変わるだろう」「本当に必要だろうか」「予算は大丈夫かな」と、心の中で整理しているんです。
つまり営業における沈黙は、お客様が購買を決断するために必要なプロセス。それを邪魔してしまうのは、せっかくのチャンスを自分で潰しているようなものなんですね。
あなたは悪くありません。沈黙が怖いのは、脳の仕組み上、当たり前のこと。
でもその意味を知れば、少しずつ恐怖は和らいでいきます。
沈黙がお客様の心を動かす心理メカニズム
「お客様の『考えます』って、遠回しな断り文句ですよね?」
そう思い込んで、「いえいえ、今決めていただかないと……」と食い下がってしまう。結果、お客様は本当に離れていく。
こんな悪循環、経験ありませんか?
人は「自分で決めた」時に最も動く
営業と沈黙の関係を理解するには、人間の意思決定のクセを知る必要があります。私たちは誰かに説得されるより、自分で答えを出した時の方が、その決断に満足するんです。
たとえば、あなたが商品説明を完璧に終えたとします。メリットもデメリットも伝えた。でも最後の決断は、お客様自身がするもの。
その決断のための「間」を、沈黙が作り出します。
5秒、10秒の沈黙を置く。お客様は無意識のうちに「さっき聞いた話、確かに良いかもしれない」「今の自分に必要かも」と、心の中で自分に語りかけ始めます。
この内なる対話こそが、購買意欲を高める最強の方法なんです。
沈黙を埋めたくなるのは、お客様も同じ
営業側が「沈黙が怖い」と感じるように、実はお客様も「何か言わなきゃ」と感じることがあります。
だから営業側が黙って待っていると、今度はお客様の方から「実は、こういうことで悩んでいて……」と本音を語り始めることがあるんです。
これ、実はマーケティングと営業の違いを理解する上でも大切なポイントです。
マーケティングは「伝える」活動ですが、営業は「聞く」活動でもある。沈黙を使える営業は、お客様の本当のニーズを引き出せるんです。
急かさない姿勢が、信頼を生む
ベラベラと喋り続ける営業と、適度に沈黙を挟みながら話す営業。どちらが信頼できると感じますか?
多くの人は後者を選ぶはずです。なぜなら沈黙は、「相手の言葉を待っている」「急かしていない」というメッセージになるから。
お客様が「この人は売りつけようとしていない」と感じると、心を開きやすくなります。そして不思議なことに、無理に売り込まなくても、お客様の方から「買いたい」と言ってくれるようになるんです。

沈黙への恐怖を、少しずつ和らげていく
「沈黙が大事なのはわかった。でも実際の商談では、やっぱり怖い……」
そう思いますよね。何年も営業をやっていても、沈黙の瞬間は緊張するものです。
まずは「沈黙は悪いことじゃない」と知ること
沈黙の心理テクニックや効果について、ここまで読んでくださったあなたは、すでに第一歩を踏み出しています。
「沈黙=気まずい」「沈黙=失敗」という思い込みが、少しずつ変わり始めているはずです。
営業トークで大切なのは、喋り続けることではありません。お客様が自分で納得する時間を、ちゃんと渡してあげること。その時間が、沈黙という「間」なんです。
小さく始めてみる
いきなり「10秒待とう」と思っても、難しいかもしれません。
だから最初は、ほんの少しだけ。質問したあと、すぐに補足説明をするのではなく、2秒だけ待ってみる。それだけでも、お客様の反応が変わることがあります。
「この人は、私の答えを本当に聞きたいんだ」と感じてもらえるんですね。
沈黙を味方にする方法は、いろいろあります。でも一番大切なのは、「沈黙は怖いものじゃない」と腹落ちすることかもしれません。
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沈黙を味方にして、あなたらしい営業を
プレゼン後の沈黙に耐えられず、つい「あ、ちなみに……」と喋り出してしまう。契約書を出した後の数秒が、地獄のように長く感じる。お客様の「考えます」を断り文句だと思い込んで、焦って食い下がってしまう——。
こうした「沈黙への恐怖」は、脳の仕組み上、誰もが感じるものです。あなたは悪くありません。
でもその恐怖の正体を知り、沈黙の意味を理解すれば、少しずつ変わっていけます。沈黙は、お客様が自分で納得し、決断するための大切な時間。それを邪魔せずに待てるようになると、「売り込まなくても売れる営業」に近づいていきます。
明日の商談で、ほんの2秒でいいから、黙って待ってみてください。その小さな変化が、お客様との関係を変え、あなたの営業スタイルを変えていきます。沈黙はあなたの敵ではなく、味方です。怖がらずに、一緒に歩いていきましょう。
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法廷臨床心理学博士・ニューロマーケティング(脳科学マーケティング)トレーナー
株式会社ビジネスサイエンスジャパン取締役。ビジネスサイエンストレーニングアカデミー学長。
1985年東京都文京区生まれ。神奈川県横浜市のサン・モール・インターナショナル・スクールの高校を卒業。
2006年米国オレゴン州ルイス&クラーク大学にて心理学専攻及び中国語を副専攻で大学卒業。
2008年米国フロリダ州アルビズ大学大学院にて心理学修士課程修了。
2013年同大学院臨床心理学博士号、法廷特化で卒業(博士論文Doctoral Project:Endo, T. K. (2012) Test Construction: Clinician’s Gay Male Competence Inventory. (Doctoral dissertation, Carlos Albizu University)。後、オレゴン州にて臨床心理学者の国家治療免状を獲得。マイアミ市警、FBI、CIAの調査支援を行った実績を持つ。
2017年には薬物依存人口を減らした功績を称えられ、2017年フロリダ州ジュピター市より表彰される(2017 Best of Jupiter Awards - Drug Abuse & Addiction Center)。現在は実践的ビジネスサイエンス、実践的心理学、脳科学的教育、ニューロマーケティングの普及、後進の育成に努める。著書に『売れるまでの時間-残り39秒 脳が断れない「無敵のセールスシステム」』(きずな出版)、共著に『仕事の教科書』(徳間書店)がある。